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はじめにはじめに日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科 教授/がん薬物療法専門医勝俣範之日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科 教授/がん薬物療法専門医勝俣範之  2019年6月にがん遺伝子パネルが保険適用となり、組織検体を利用して、個々の患者さんのがん組織の遺伝子異常がわかるようになりました。この結果、患者さんにとって、さらに治療の選択肢が広がることとなりました。遺伝子パネル検査が保険適用となったこともあり、2019年を日本における「がんゲノム元年」と呼ぶそうです。年号も“令和”となり、新しいがん医療が始まったと言えます。 このようにがん医療は、まさに日進月歩の勢いで進歩しており、臨床現場においても、最新の情報についていくのが大変なことと思います。がん薬物療法の世界も、分子標的薬は現在では70種類以上が承認されています。 本増刊号は、がん診療全体にかかわるワードを224個とりあげ、簡潔に解説しています。内容は幅広く、がんの予防・検診から、がんの治療薬、支持療法、臨床試験、ゲノム医療、代替療法、緩和ケア、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)、各がんの各論、社会支援にいたるまで網羅的に解説しています。執筆者は、すべて専門・認定看護師のかたが中心であり、これ一冊読めば、がん診療の最前線の全体像がつかめる内容であり、自信を持ってお届けできる内容になっています。 最近では、インターネットが盛んになり、患者さんもあらゆる情報を集めてきますが、ネット情報には、あまり信頼できる情報がありません。ナースの皆さんも、患者さんからいろいろと聞かれることが多いと思いますが、「知識は力」と遺伝性乳がん卵巣がん症候群であることを告白した女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが言われました。この本を読んで、適切な情報を患者さんに示すことができる手助けになればと思います。 また、医療は知識だけではなく、患者さんに寄り添うケアも大切です。特に、がんの患者さんは、いろいろなことに悩み、不安を抱えています。適切な情報提供とともに、患者さんに寄り添うケアを実践していっていただければと思います。

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