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YORi-SOU がんナーシング 2021年 春季増刊  211章呼吸困難・息切れ(薬剤性間質性肺炎)1呼吸・循環呼吸困難をきたす要因は、細菌感染や貧血、肺塞栓、がん性リンパ管症、原疾患の悪化、心不全など多岐にわたるため、症状の原因としてほかの要因が関与していないかという鑑別も行なっていくことが必要です。STEP!UPメモSTEP!UPメモ●間質性肺炎の初期症状は、“発熱”“乾性咳嗽”“息切れ・呼吸困難”で、治療開始時から患者さん自身で継続してモニタリングしていくことで早期発見につなげられます。●毎日の検温や症状の有無・変化を適切にとらえられるように、治療日誌などを活用するなど、患者さんが継続しやすい方法を一緒に考えて取り入れていきましょう。●症状の発現があれば、発現時期を確認します。●ほかに原因となり得る薬剤の使用がないか(市販薬やサプリメントなども含め)を確認することも重要です。●受診時には定期的に必要な検査を行ない、自覚症状を伴わない間質性肺炎の出現がないかを確認します。●間質性肺炎では労作時に著明な酸素飽和度の低下を認めるため、安静時と労作時の呼吸状態や酸素飽和度、脈拍数、呼吸回数の変化を観察することが重要です。●間質性肺炎が疑われる場合は、原因と考えられる治療薬を中止します。しかし、エベロリムスやテ❷初期症状を見逃さない、継続したモニタリングが重要!ムシロリムスなどのmTOR阻害薬では、自覚症状がなく画像上陰影のみを認める状態の場合治療は継続されることもあります。その際には、症状の出現の有無を含めて慎重に観察していくことが重要ですので、モニタリングの方法と変化があった際の医療機関への連絡方法について、患者・家族への指導を行ないます。●特に注意を要する薬剤を使用する場合や患者さん側の要因がある場合には、自覚症状出現時には早急に医療機関へ連絡する必要性があることを患者・家族へ伝えておく必要があります。●「階段や坂道をのぼったり、少し動くだけでも息切れがする」「空咳が出る」「37.5℃以上の熱がある」などの症状がみられたり、症状の変化が現れた場合は、できるだけすみやかに(当日中に)医療機関へ連絡もしくは受診するように指導します。●経口抗がん薬による治療中の患者さんにおいて、間質性肺炎が疑われる症状が出現した場合には、治療薬は内服せずに医療機関へ連絡することを指導しておくことも重要です。❸経口抗がん薬でも出現頻度が高いため、外来通院中の患者・家族への指導が重要!

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