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YORi-SOU がんナーシング 2021年 春季増刊  177倦怠感・疲労感8章37全身・その他重度見逃せないアクション&コメントどういうことをする?聴き取りテクアセスメントポイント貧血、感染症、電解質異常脱水の有無(経口摂取・水分摂取ができているか)発熱(腫瘍熱)・咳・息切れ・体重減少・下血がん性疼痛・骨転移の有無認知力の評価(集中力や記憶力の低下)通院手段、移動手段の変化(車椅子を使用しはじめた、など)倦怠感の原因への対処・治療を行ない、日常生活動作への影響の有無を確認する対応倦怠感の原因となっている、貧血や悪心・嘔吐、下痢などによる食欲低下、脱水、電解質異常、睡眠障害、抑うつなどの症状を緩和するナースのケア倦怠感の評価:原因のアセスメントと対応輸血(一般的にはHb7.0g/dL以下が目安)脱水・電解質異常の補正(補液)睡眠導入薬や抗不安薬・抗うつ薬の投与治療内容や方針の変更などについて、患者さんが医師と話し合える機会を作るくらしとこころのサポートやりたいことや、予定を詰め込みすぎず、分散させる(1日1つ、2日おき、など間を空ける)入浴を清拭にするなどのアドバイス家事支援などのサービス利用方法 のアドバイスナースの声かけ今、感じている「つらいだるさ」は、これまで治療を頑張って続けてこられた証です。つらいときは、思い切って、「抗がん薬を少し休みたい」というように、医師に伝えてみましょう。また、つらいときは、周囲のサポートを得ましょう。「がん治療による倦怠感」は、日常生活だけでなく、あらゆる職業に影響します。特に、勤めている場合は、仕事内容や休みの調整をつけるのが難しい状況が多いです。また、管理職や責任者などの立場にある場合も同様です。倦怠感とつき合いながら仕事を続けるためには、周囲の人の理解が必要です。上司や同僚に伝えることでサポートが得られるかもしれません。職場の産業医や産業保健師などへの相談なども勧めてみましょう。相談も具体的に、「休憩する場所がほしい」「治療後2日間は倦怠感がつらいので内勤にしてほしい」「治療の翌週は外回りが可能」などと伝えることを提案しましょう。くらしくらしFOCUS!FOCUS!ににとと1日を10とすると、横になっている時間はどのくらいを占めますか?歯みがきや入浴などもおっくうに感じますか?ペットボトル何本分くらい水分を摂ることができていますか?コメント一日の半分以上は、横になって過ごしています。食事も思うように摂れません。一人では病院に来られません。何をするのも面倒。発見エピソード発見エピソード抗がん薬治療を受けるたびに、倦怠感や無力感が強くなっていくAさん。「本当は治療を休みたいけれど、次のCTまで頑張る」と必死でした。家族は、「抗がん薬治療のたびに、食事も会話もできなくなってしまうAさんを見るのがつらい」と話していました。看護師は「Aさんが、食事が摂れたり、お話しできることを、ご家族は望んでいますよ」とAさんに伝えてみました。次回受診日に、Aさん自身から、「8月の間は、思いきって治療を休むことにしました。どんなに頑張っても、治るものではないし。気持ちが吹っ切れました」と言ってもらえました。ポイントポイント“これだけ”“これだけ”❶「だるくてつらい」といった訴えを逃さず、評価、アセスメントする❷倦怠感の主な原因を考え、対応する❸倦怠感とつき合いながら生活・治療が継続できるように支援する

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