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はじめに公益社団法人 日本看護協会神戸研修センター教育研修部認定看護師教育課程 課長 菅野かおり 毎年多くのがん薬物療法薬が開発・承認されており、患者さんの治療選択肢は増えてきています。治療による効果として全生存期間や無増悪生存期間の延長、がんによる症状の緩和が期待できる一方で、悪心・嘔吐、脱毛、末梢神経障害などの副作用症状が出現するのは避けられず、患者さんの日常生活に大きな影響を与えています。 看護師は患者さんの身体的・心理的苦痛を少しでも軽減し、希望する治療を継続できるように支援していくことが重要です。しかし、新規がん薬物療法薬による特殊な副作用症状の出現、多剤を併用することによる複数症状の出現などといった状況を理解し、患者支援を行なうのは非常に大変です。また、これら多岐にわたる症状を学習するには症状別の文献を見ていく必要があり、学習の方法や時間の確保についても苦慮されていることと思います。 本増刊では、50の副作用症状を取り上げました。免疫チェックポイント阻害薬を含む、がん薬物療法薬によって出現する副作用のほとんどを網羅しています。臨床で患者さんのケアにあたるときに、この一冊で症状の知識と対応策をすぐに確認したり、判断できるように構成しました。特に、症状の重症度を「軽度」「中等度」「重度」に分けた表を作成し、すぐに状況を判断して適切な対応ができるように、アセスメントポイントとケア方法を記載しています。また、各症状について「なぜ起こるのか」「いつ起こるのか」「特に注意すること」を端的にまとめており、症状をいち早く理解するのに役立つのではないかと思います。 今回は、がん化学療法看護認定看護師の皆さんに、自身の体験や具体的にどう声かけを行なったらよいのかなどのアドバイスも含めて執筆いただきました。病棟や外来、訪問看護ステーションなどに1冊置いていただき、看護計画立案時や患者支援に役立てていただければと願っています。

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