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医療と介護 Next 2017 秋季増刊第1部超高齢社会への処方箋医療福祉の課題は里山原理の導入で解決できる9ないと思うならとんでもない勘違いである。11%というのは9軒に1軒ということであり、東京都にある750万軒の家(マンション、アパート含む)のうち82万軒が空いているのだ。実に全国の空き家の10軒に1軒が東京都に集中しているのであり、全国の空き家の4軒に1軒が首都圏1都3県に存在している。 それらのうち、老朽化して使えない空き家は取り壊し、NPOや行政などが土地を借りて農地にすれば、大都市圏での市民農園の面積を急増させることが可能だ。子どもの遊ばない児童公園の市民農園化も、すでに富山市などで実績があるが、ぜひ大都市圏でも広めてもらいたい。 そもそも大都市圏の住宅地の土地は、もともとは優良農地だった場所が多く、耕作に適している。空き家を壊し、アスファルトをはがせば下から肥えた土が出てくるのだ。別荘など二次的住宅を除く。空き家数は820万戸と5年前に比べて63万戸(8.3%)増加。空き家率(総住宅数に占める割合)は1998年に初めて1割を超えて11.5%となり、2013年には13.5%と前回調査の08年に比べ0.4ポイント上昇、空き家数・空き家率共に過去最高となった。出典:平成25年住宅・土地統計調査結果(総務省統計局)空き家率の高い都道府県(左)と低い都道府県(2013年)%1山梨県17.2 2愛媛県16.9 3高知県16.8 4徳島県16.6 5香川県16.6 6鹿児島県16.5 7和歌山県16.5 8山口県15.6 9岡山県15.4 10広島県15.3 %1宮城県9.1 2沖縄県9.8 3山形県10.1 4埼玉県10.6 5神奈川県10.6 6東京都10.9 7福島県11.0 8滋賀県11.6 9千葉県11.9 10愛知県12.0 医療・介護の危機は しがらみで乗り越えろ2 「里山原理」の第一は、水・食料・燃料の一部の自給だと述べた。そして第二が、よく言えば絆、悪く言えばしがらみの再構築である。 農村にはしがらみ、言い換えれば〝煩わしい人間関係〟があって、これを嫌って大都市に出て来た元田舎の住人も多いことだろう。正確に言えば、都会の企業社会には、農山村を軽く上回るレベルの、強烈な人間関係のしがらみが、上司や顧客との間に存在しているのだが、退職してしまえばそういうものとはおさらばできる。せっかく高齢

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