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医療と介護 Next 2018 秋季増刊8人的資源を充実させて、ケア会議などをきちっとやったり、地域包括支援センターをいろんな形で強化していくことが、介護保険制度を今後、活かすか殺すかを左右するんじゃないでしょうか。鳥取の境港市の場合、2つあった地域包括を1本化させました。私どもに委託されていたところを、市役所に返還したんです。中村●そうしたら、どうなりました?廣江●市役所の中に入ったことで、生活保護だとか家族の中に障害をもつ人がいるとか、二重三重の問題の連携が取りやすくなって、相談件数がぐんと増えたんですね。中村●なるほど。廣江●生活上の問題に関する窓口は地域包括支援センターに1本化したほうが、非常に効率がいいと実感しました。コンシェルジュみたいなものですよね。貧困、子育て、高齢者、障害、あらゆる問題をここが受けるようにすれば、住民にとってもすごく楽ですし役所も効率化できると思うんです。そこで余った人材を予防事業にもっていく。フレイル予防という新しい概念が登場しています。フレイル予防は非常に重要で、これを徹底的にやっていくことによって健康寿命も延ばしていけるでしょう。フレイルとか未病といった新しい概念が登場して、イノベーションが起こっています。そういう考え方をうまく活用して、とにかく健康寿命を延ばしていく。徹底的にやれば、医療費も介護費も下がっていくだろう。そうしないと、もう財政的に持たないだろうと思いますね。共生型サービスが登場廣江●次々と出てくる新しい問題に対処するには、地域包括支援センターをもっと強化していくことです。たとえばコンペのような形で事業をランク付けして競わせるのも手かもしれません。工夫次第でかなり効率が上がるんじゃないかと思います。中村●今年度の報酬改定で共生型サービスができましたね。実は05年改正のとき、障害福祉サービスも議論しました。当時、障害の支援費制度が限界と言われていました。それで介護保険の第2号被保険者の年齢を下げて20歳からとし、増えた財源によって障害サービスを介護保険でも提供できるようにと提案したんです。それは結局実現せず、障害者自立支援法(現在は障害者総合支援法)が制度化されました。 いまは被保険者の年齢を引き下げる議論ではなく、廣江さんの話のように、サービスを相乗りできるようにしようという方向性が出てきています。厚労省も「我が事・丸ごと」といって、もっと年齢や障害の種別を越えて、制度横断的に取り組もうと言い始めました。伊原●はい(うなずく)。中村●地域包括支援センターは支所も入れると全国で7000~8000カ所になっていて、寝たきりの人がどこに何人いるのか制度以前は不明だった      ──中村

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