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第1部座談会 介護保険の未来を語るPart 1 介護保険が生み出したもの医療と介護 Next 2018 秋季増刊9立派な財産です。これと別に相談センターを新設するのは、資源的にそれこそ合理的ではない。廣江●なんとか支援センターというのは法律や種別ごとにたくさんあって、細分化されている。障害者のセンターもたくさんあるし、わけわからんぐらいです。それらを一本化したらすごく効率的になると思うんですよねえ。伊原●基本的な考え方は、その通りだと思います。介護保険は05年から今回改正まで何回も改正されていますけど、その中で一番大きく変わった点は、地域包括ケアというコンセプトが打ち出されて、広がりを見せてきたことだと思うんです。最初は何を言っているのかわからなかった地域包括ケアが、今は地域共生という考え方に広がってきた。介護保険制度がスタートした2000年の頃には、あまり考えられていなかったと思います。さらに狭い意味での介護サービスだけでなく、サ高住とか有料老人ホームのように高齢者の生活を支える資源が、介護保険の周辺にどんどん広がってきたという事情もあります。伊原●今後は、社会保障のなかで地域包括ケアという概念をどこまで一般化していくか、普遍化していくか。それは多分、介護保険だけで実現していくことじゃなくて、さまざま福祉制度もそうだし、あるいは自費サービスとか、あるいは住民相互による地域づくりとか、さまざまな要素を組み合わせて広がっていくのだと思うんですね。 地域包括ケアは介護保険の18年の積み重ねのなかで生まれ、発展してきました。これを拡充・強化していった先に地域共生があり、そこには人々の生活を支える公共政策や、地域の中での住民相互の助け合いや、自費メニューもある。これをトータルでどう根付かせていくかが、街づくりや 共生社会の 概念を生む非常に大事になっていると思うんです。 去年から介護保険と医療保険の両方を担当して、そんなことを感じています。実は医療保険はそういう意味でいうと、ここ最近はどんどん医療に純化してきています。昔は社会的入院など介護の代替機能を担ったりして広がっていたんですけど。中村●今は、むしろ医療しかしない。伊原●医療保険は専門的な分野に特化していっています。一方、介護保険の給付費は社会保障費全体の1割にも満たない10兆円そこそこですが、その金額以上に、地域社会を考える中心的な役割を担うようになってきている気がしています。外に広がって包括ケアに田中●介護保険をめぐっては、内側の話と外側の話、すなわち介護保険の中でできることと、包括を強化して新しい問題に対処し効率化を図れ      ──廣江

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