医療と介護 Next 2019 秋季増刊第1部座談会 2040年まで持続可能な事業運営のためにPart 1 なぜいま生産性向上なのか9鈴木●この図(図2)から読み取れることは、日本は年間1人当たりの受診回数が多く、しかも1回あたりのコストは低いといことです。少ないコストでたくさん診てもらえる。患者にとっては、こんないい国はないと思うんですが(笑)。青木●例えば診療報酬を倍にしたら見た目の金額の生産性は上がるということですが、逆に患者にとっては支払い金額も倍になるということです。それを理解せず、単に売上額(付加価値)が上がれば生産性が高まると思っている人たちがあまりにも多すぎます。介護も同様ですが、少なくとも日本が他国に比べて生産性が低いと言われるのは心外だと思っています。馬袋●この話はレストランを例にとると、一般の人にもわかりやすいと思います。日本のレストランにはシェフをはじめ、フロアマネジャーやウエーターなどが働いていますが、彼らの収入は、日本ではメニューの代金に含まれている。ところが海外ではチップ制度がある。チップ制度は実は働いている人にとっては大きな収入源で、しかも売り上げが計上されないから、安い給料で高いレストランで働いている=生産性が高いということになるんです。でもチップ収入も入れて比較したら、日本のサービス業は生産性が低いとは言えないと思うんです。鈴木●制度を作った当時と今では大分環境が違っているので、現行の制度の枠組みの中で生産性を上げるためには、いろいろ工夫が必要でしょうね。青木●介護保険ができた20年前とは全く違いますよね。しかし、図1の右側にある「生産年齢人口の急減」、つまり高齢者が増えることで1人当たりの保険料は急騰、介護人材不足によ図1 2021年介護保険制度改革の重点事項青木氏作成図12021年介護保険制度改革の重点事項1.介護予防・健康づくりの推進(健康寿命の延伸)5.持続可能な制度の再構築・介護現場の革新2.保険者機能の強化(地域保険としての地域の繋がり機能・マネジメント機能の強化)3.地域包括ケアシステムの推進(多様なニーズに対応した介護の提供・整備)4.認知症「共生」・「予防」の推進(生産年齢)人口急減1人当たり保険料急増介護人材不足生産性向上ICT・AI・ロボット現場革新(イノベーション)特定処遇改善加算外国人材受入れ【2040年まで持続可能な医療と介護マネジメントにするために】図12021年介護保険制度改革の重点事項1.介護予防・健康づくりの推進(健康寿命の延伸)5.持続可能な制度の再構築・介護現場の革新2.保険者機能の強化(地域保険としての地域の繋がり機能・マネジメント機能の強化)3.地域包括ケアシステムの推進(多様なニーズに対応した介護の提供・整備)4.認知症「共生」・「予防」の推進(生産年齢)人口急減1人当たり保険料急増介護人材不足生産性向上ICT・AI・ロボット現場革新(イノベーション)特定処遇改善加算外国人材受入れ【2040年まで持続可能な医療と介護マネジメントにするために】急騰
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