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医療と介護 Next 2019 秋季増刊第1部座談会 2040年まで持続可能な事業運営のためにPart 1 なぜいま生産性向上なのか11馬袋●私も事業者の質を高めることや、生産性向上をテーマに長く取り組んできました。生産性を考えるうえでのポイントは、経営者が生産性とはなにかということをどう整理するかです。介護現場では、人材が定着しスキルが上がってくると、ケアの予測性やフォローアップなどができるようになり、ケアの質が高くなる、つまり生産性が上がります。そのため、介護現場では人材の定着が生産性向上にもっとも効果があることを痛感しています。賃金が高いとか安いとかいう議論だけでなく、人材を定着させるためにICTなどさまざまな情報端末を使うことも大切だけれども、ICTを導入すればすぐに生産性が上がるわけではないんです。ここを経営者は理解しないといけない。ICTを導入するなら、まず現場のプロセスを整理して、職員への仕事の仕方に十分に注意しないと、「なぜ私たちはこんな難しいものを使わないといけないのか」と、期待と異なる意見をしてしまいます。誤った生産性の考え方に使われてしまわないよう留意することが大切です。青木●生産性向上はICTありきではないということですね。鈴木●海外の現場と比較しても、日本の医療や介護の質は、もともと高いと思うんです。しかし今後、超高齢社会に伴って、特に介護のニーズが増大してくるので、これを保険料の面でも人材の面でも、このままの状況を続けるわけにはいかないのです。私は中小病院の経営者ですが、医療のほうでは地域医療構想、ICTやAIも人が基本なのは変わりがない図2 医師1人当たりの年間外来患者数と1回当たりの医療費の国際比較=/1スウェーデン出典:鹿児島生協病院ホームページ「日本の病院では医師数が絶対的に不足している」を改変

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