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医療と介護 Next 2019 秋季増刊12一方、ニーズは増えているのに改革が働いてこなかったのが介護業界で、それが今回、生産性向上という方向で出てきたのかなと感じています。その意味を理解して進めていくと、単なるICT導入などではなく、人が基本であることは変わりがないので、質を向上させるためにそれをどう使うかが重要だと思います。介護ロボットやICTなど、うちの法人でも使ってみてはいますけど、まだまだ人に代わるものではないですね。ただ、介護事業者は大企業から中小零細のところまで、事業者の規模に非常にばらつきがあって、ある程度大きなところはもういろんなことに取り組んでいると思うんですが、そうでないところはどうすればいいかを考えていく必要があります。大規模化という方向もひとつの解決策ですが、家族的な雰囲気でいいケアを提供している小さなところもあるわけですから、そういうところの良さをなくさない取り組みが必要ではないかと思います。青木●いまご発言いただいた3人の方に共通しているのはやはり、医療サービスも介護サービスも人がやるもので、働いている側の価値も認めて発展していくことが大事だということですね。西川さんはいかがでしょう。西川●社会全体の中で医療や介護の生産性ってなんだろうと考えた時、私はあえてマクロの大きな視点から見ていくことが大事だと思っています。安倍総理の言う、生涯現役社会というのも結局、国民一人ひとりが亡くなる直前まで幸せでいられる社会を目指しましょうと言ってい生産性向上で日本の未来は明るくなる生涯現役社会とは亡くなる直前まで幸せでいられる社会。──西川医師の働き方改革、医師偏在対策の、いわゆる三位一体改革が進んでいます。しかしこのままではこれらを乗り切るのは大変だと感じています。特に働き方改革の影響は大きい。今までは少ない人数で長い時間働いてきましたが、これからは人を増やそうと思っても人がいない、社会保障費を増やそうと思っても増やせないというのが大きな課題です。

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