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医療と介護 Next 2019 秋季増刊第1部座談会 2040年まで持続可能な事業運営のためにPart 1 なぜいま生産性向上なのか13るわけです。しかしこれは厚生労働省も日本医師会も介護業界の方も、ずっとこれを目指してやられてきているわけです。なぜ今回、介護の生産性向上の議論に経産省が入っているかというと、社会福祉はもちろん大事なんですけど、マクロ経済から見ても健康・医療・介護をきちんとやることによって、将来の日本の社会が活性化し、マクロ経済社会環境が明るくなるからなんです。青木●医療や介護を考えるとき、財政的にも人材的にもマイナス要因ばかりが言われますが、活性化させることでマクロ経済にも寄与するんですね。西川●そうです。逆に言うと、健康づくりや医療・介護に不安があると、マクロ経済社会が不幸せになるというところが最大の懸念点だと思います。したがって、予防やケアなども含む、いわゆる広義のヘルスケアは、ある意味将来への投資だと我々は考えています。それによってマクロ環境が変わっていくからです。制度改革も大事ですが、例えば何歳まで働くんだという議論がありますが、年をとっても働きたければ働ける環境をつくるためには、まずは個人の健康とか、倒れたときにちゃんと治療やリハビリが受けられる、必要なら介護が受けられる環境を整備することが大事です。そうなれば、これまで60歳や65歳で区切って議論されていたことが、むしろシームレスに変わるんじゃないでしょうか。実際に85歳で現役にカムバックした医師もいますし、90歳で介護の仕事をしている人もいます。いざという時の医療や介護をきちんと用意しておくことで、全世代の国民の健康度は大きく変わると思っています。青木●ヘルスケアの議論で経産省の力が必要となるのは、経生産性向上には介護人材の定着がもっとも効果がある。──馬袋

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