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第1部地域づくりとは第2部こんな自助、あんな互助第3部対談〝医療の出前〟発祥の地、御調の地域づくり巻末資料医療と介護 Next 2017 秋季増刊3次期(2021年度)介護保険制度改正に向けた検討事項には、「介護予防・健康づくりの推進(健康寿命の延伸)」「保険者機能の強化(地域保険としての地域の繋がり機能・マネジメント機能の強化)」「地域包括ケアシステムの推進(多様なニーズに対応した介護の提供・整備)」「認知症『共生』・『予防』の推進」に加え、「持続可能な制度の再構築・介護現場の革新」が提示されています。介護保険制度にとって、「財源不足」「労働力不足」という2重の不足が、大きな制約要因となっているからです。前者では、「介護保険制度の普遍化」を前提とした被保険者・受給者範囲の拡大の可否が議論されています。他方、後者では、処遇改善、外国人材の受入れを含めた介護人材の確保のみならず、ICT・介護ロボット活用などを通じた介護現場や業務の改善・効率化が大きくクローズアップされています。厚生労働省は、介護関係団体による「介護現場革新会議」の設立や「介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン」の策定など、「生産性の向上」を合言葉にした施策を矢継ぎ早に講じています。こうした状況は医療においても同様で、政府の「経済財政運営と改革の基本方針2019」(骨太方針2019)では「医療・福祉サービス改革プラン」として、2040年における医療・福祉分野の単位時間サービス提供量(各分野のサービス提供量÷従事者の総労働時間で算出される指標)を5%以上、医師については7%以上改善させるという数値目標が示されました。このような大号令が下される背景には、「『医療・福祉』の生産性は国際的にも最低の水準にとどまっている」(第3回「雇用政策研究会」厚生労働省・2018年6月29日)という「共通認識」があるようです。しかし、これは事実というより「思い込み」レベルの認識でしかありません。なぜなら、医療や介護サービスのアウトカムは付加価値=売上額では表せないからです。医療・介護のアウトカムは、患者・利用者が本当に望んでいる生活が実現したかどうかにあります。言い換えれば、利用者ニーズの充足にあるわけですが、生活や人生のニーズには不可知性という特質があります(猪飼周平「ケアの社会政策への理論的前提」社会保障研究、第1巻・第1号、国立社会保障・人口問題研究所)。医療や介護には、この客観的な指標では測定不可能なニーズを顧客である利用者とともに充足し、顧客価値を最大限に高めていくという、極めて今日的なサービス業としての特徴があります。本書には、こうした課題への経営者、現場、そして研究者、行政からの、最新の知見と実践が盛り込まれています。事業と業務の改革、新しい組織の構築に至るまで、さまざまなサジェスチョンが得られるはずです。2019年10月青木正人株式会社ウエルビー代表取締役地域包括ケア時代の 事業所マネジメントはじめに

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