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 アセスメントは看護に必要な「情報収集」に始まり、その情報を理論的な基準や正常値,平常値などに照らし合わせ、逸脱している状態やその原因、関連因子を明確にし、健康上の問題を抽出していくプロセスです。そのためには身体的・心理的・社会的な反応のメカニズムや理論的な基準、正常値についての知識を持つこと、また、看護の視点で生活体としての人間をとらえ、一つの情報を多面的に分析したり、統合したりすることが必要になります。 看護過程におけるアセスメントの教育は、看護基礎教育から行われ、臨床教育へと継続されていきます。しかし、初学者にとってアセスメントは苦手意識の強い学習の一つとなっているのではないでしょうか。特に急性期看護の臨床では、患者さんの回復過程における変化が早く、何が問題になるのかわからない、術前は元気なので術後の問題が挙げられない、病態や治療に関する知識が乏しく見通しを立てることができない、などの悩みが生じているようです。また、合併症の発生のみに注目しがちで、患者の個の特性や生活への影響を考えることが難しいという悩みもよく耳にします。また、近年の医療政策である地域包括ケアの考え方や、それに伴う急性期看護の特徴から、患者さんにどのようにかかわるか、課題も多くあります。 本書はそうした初学者である看護学生や新人ナースのみなさんが、基本的知識を使いながら、何をどう見るのかを自分で学ぶことができるよう、急性期の臨床現場でよく出合う場面を切り出した事例を使って編集しました。それぞれの章において、事例をもとにアセスメント力を身に付けられるよう、一緒にイメージトレーニングを行いながら読み進めていただければよいと思います。 まずPart1では、急性期看護における対象の理解や急性期医療の方向性について俯瞰します。次に、すべてのPartで臨床事例を用い、トレーニングを重ねていきます。Part2では、基盤となる身体的アセスメントとして、急性期にある患者さんの侵襲と生体反応、呼吸・循環・意識・代謝・消化などの変化をどう見るか、また、アセスメントに用いる指標をガイドとして織り込みました。Part3ではそれまでの基礎知識を使い、手術療法におけるアセスメントを、Part4では急性期の特徴的な心理的・社会的アセスメントについてどのようにとらえていくかを考えていきます。各Partにおいて、事例をもとにアセスメントを繰り返しトレーニングすることで思考のパターンを身につけ、それを基礎に、やがて自分の思考方法を発展させていただければよいと思います。 初学者であっても、トレーニングによりアセスメント力は鍛えられます。自分ひとりで学ぶだけではなく、このトレーニングの方法を利用して、自ら学ぶ力を獲得してみることもよいでしょう。さあ、楽しみながらトレーニングをして、アセスメント力を鍛え自分のものにしてみましょう。本書にそのお手伝いができれば幸いです。 2018年8月吉日 小澤知子はじめに

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