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8 急性期とは 現在、「急性期」の明確な定義はなく、対象の健康状態や医療の機能あるいは場などによって「超急性期」「急性期」などと区別して用いられることもあります。ここで共通して理解されていることは、急性期とは病気やケガによる症状が急激に出現し、心身の苦痛を伴う症状の経過時期であるということです。人間にとって、病気やケガは侵襲であり、ホメオスタシスの保持が困難となった生体がその変化に適応するためにさまざまな反応を起こし、生命の危機的状況に至った状態を急性状態といいます。 この急性期を乗り越えた時期を「回復期」といいます。回復期は生命の危機を脱した状態ではありますが、まだ合併症のリスクを伴っている時期でもあります。この回復期を無事に乗り越え、治癒を目指しますが、病状は比較的安定しながらも治癒が困難な状態が続き、長期的な治療や看護を必要とする時期を「慢性期」といいます。 このように、健康状態のレベルごとに区分した「超急性期」「急性期」「回復期」を総称して「急性期」と呼ぶことが一般的です。ただし、対象の状態の経過において、ここからが「急性期」でここからが「回復期」であるという境界は明確にはありません。対象者個人の健康レベルの経過は一方向ではなく、「慢性期」から病状の悪化に伴い「急性期」となることもあります(図1-1-1)。1Part対象を理解する急性期看護の特徴11急性期回復期治 癒慢性期図1-1-1 健康レベルの状態と経過

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