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9急性期看護の特徴 ✲ 1…対象を理解するPart1 急性状態が生じる原因 急性状態が生じる原因となる主な疾患や状態として、①急性疾患の発症、②侵襲の大きい治療、③外的要因による身体損傷、④慢性疾患の急性増悪や急変、の4つが挙げられます(表1-1-1)。 急性期にある患者・家族の特徴 急性期にある患者の特徴 急性期にある患者の主な特徴は、①発症が急激で経過が短いこと、②回復による治癒または悪化による死を迎える場合があることです。また、強い症状や侵襲的治療に伴う身体的苦痛や心理的苦痛、生命維持に重要な機能の障害から、一時的にセルフケア能力が低下するような③身体的ハイリスクな状態であること、身体機能や身体の一部を喪失の体験や心理的脅威に対応できない自分という体験などから④心理的ハイリスクな状態であるといえます。2 31表1-1-1 急性状態が生じる主な原因1 急性疾患の発症細菌やウィルス感染による急性肺炎腹部大動脈瘤食道静脈瘤の破裂急性心筋梗塞や狭心症脳梗塞劇症肝炎 など2 侵襲の大きい治療手術療法 臓器切除や摘出による組織損傷 体腔を大気にさらす体温低下、疼痛刺激 術後合併症:呼吸器系、循環器系、感染化学療法(抗がん剤投与) 骨髄抑制、ショック3 外的要因による身体損傷外 傷 骨折、内臓破裂、神経損傷、切傷、挫滅損傷熱 傷 火・熱湯、薬品による化学熱傷、電気熱傷中 毒 医薬品中毒(睡眠薬、鎮痛薬など) 工業用品中毒(農薬、ヒ素など) 自然毒中毒(フグ、キノコ、毒蛇など) 急性アルコール中毒 一酸化炭素中毒 覚せい剤中毒異 物 異物による気道または消化管の損傷と閉塞その他 溺水、放射線大量被曝など4 慢性疾患の急性増悪や急変慢性長期的な経過をたどる疾患のコントロール不良による急激な悪化慢性気管支喘息の重症発作糖尿病患者の血糖コントロール不良による糖尿病性昏睡

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