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14図2は比較的痩せた男性の頸部の正面と側面の写真である。体位は枕を外しただけの仰臥位であるのでそれほど頸部は伸展されていないが、甲状軟骨の隆起や周囲の筋肉がよく見える。やせた人は気管軟骨輪の凹凸がガタガタと触れるかもしれないが、通常は第2~第3気管軟骨輪間に横切開を入れて、その尾側方向に開窓される。この部分は自己触診でも明らかなように意外と狭いし、深い。特に頸部を後屈しないかぎりうまく触れないのではないだろうか。臨床の現場において最も大切なことは、この“頸部の後屈伸展”の体位である。気管切開術の適切な体位であり、実際のカニューレ交換の安全体位である。ぜひ、鏡の前で確かめてほしい。図3は頸部前屈位と頸部後屈位の側面像で、気管切開できる部位がいかに伸びるかを示した。ただし、頸椎損傷などでは自然な体位(neutral position)しかとれないことにも留意したい。また図4にはCT撮影の通常体位と頸部後屈伸展体位を左右に対比して並べた。上段から順に、体表トレース、正面からみた気道、側面からみた気道、側面正中断である。上段から2段目の赤く塗られた気管はCTでは気道内腔面のトレースであり、実際の気管表面の輪郭よりも細めになっている。また気管表面でみる凹凸とは逆になっていることに注意してほしい。気管切開に頸部前屈位頸部後屈位図3. 頸部の前屈位と後屈位上縁は甲状軟骨下端下縁は胸骨上切痕左右は胸鎖乳突筋内側縁の逆2等辺三角形甲状軟骨輪状軟骨胸鎖乳突筋舌骨鎖骨胸骨甲状軟骨輪状軟骨図2. Jacksonの安全三角

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