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16胃ろうの多くは嚥下困難症例で脳血管障害であることが多い。腸ろうは内臓疾患が多い。胃ろう、腸ろうとも栄養補給路としてのろう孔であり、下痢、便秘、発熱などの体調の変化に合わせた管理が必要となる。さまざまな神経障害により膀胱機能が障害され永久的な尿閉状態なった場合の排尿方法としては、通常は間欠的導尿法が第1選択となるが、何らかの理由でこれが不可能な場合は膀胱ろうが検討されることになる。膀胱ろうは排尿困難症例で神経因性膀胱、脊髄損傷者に造設されることが多い。ろう孔保持者はろう孔の異常をうまく表現できない患者が多く、慎重な観察が必要である。Point胃ろう、腸ろうおよび膀胱ろうを要する主要疾患の病態生理2 脳血管障害のなかでもくも膜下出血、脳挫傷、神経変性疾患などによる嚥下障害や、咽頭、食道狭窄などにて食事摂取が困難となる症例に造設される。脳障害の場合、リハビリによるこれ以上の嚥下障害の回復が期待できない慢性期で、嚥下障害が固定的と判断される症例でかつ発熱や咳、嘔吐、腹痛などの症状もなく落ち着いた状況下にある場合に胃ろう造設が考慮される。嚥下障害が改善するまで中心静脈カテーテルでの高カロリー輸液がなされている場合が多いが、この際にカテーテル感染を繰り返す症例にも高カロリー輸液を中止してほかの栄養補給路として胃ろう造設が考慮される場合もある。 腹部が膨満し、聴診上金属音があり腸閉塞が疑われるような場合には禁忌である。 経皮内視鏡的胃ろう造設術(percutaneous endoscopic gastrostomy: PEG)を実施する際は、もちろん胃内視鏡検査が可能な状態にある場合であり、胃内視鏡検査にて胃がんや胃潰瘍が発見された場合には適応になりにくい。 食道がんによる通過障害には内視鏡的ステント術が選択される場合も多い。 胃より肛門側の消化管に機械的狭窄がある場合に造設される。 例えば、膵がんによる十二指腸狭窄、術後癒着やクローン病による小腸狭窄で通過障害がみられる場合などである。狭窄は内視鏡的ステント術や内視鏡的バルーン拡張術で改善を図る場合もある。しかし、これら内視鏡的処置は一時胃ろう腸ろう

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