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131章1創部ドレナージに関する局所解剖図1.皮膚・皮下の構造 整形外科領域では、骨折手術に際し、骨からの出血が予想以上に多い場合に体外へ血液や浸出液を排出する必要がある。出血による皮下血腫や浸出液貯留は、皮膚の腫脹、発赤、疼痛だけではなく、皮膚への圧力上昇による血行障害、組織の過緊張による皮膚癒合不全、感染、関節可動域制限などにつながる可能性がある。そのため骨折部皮下にドレーンを留置し、血液や浸出液の体外への排出を図る必要がある。 近年、関節鏡視下手術が発展し、安全かつ短期間の入院で行えるようになり、患者の負担も軽減した。鏡視下手術は感染が起こりにくく、正常な組織の損傷を最小限にできるため負担が少ない手術である。膝関節、足関節、肩関節、肘関節などに応用される。頻度の高い膝関節および股関節の局所解剖について説明する。1膝関節 膝関節は、身体の中で一番大きな関節で、大腿骨と脛骨と膝蓋骨の3つの骨によって構成され、靭帯によって結合されている。関節腔は、関節包で囲まれ、最内側の滑膜から産生された関節液で満たされる1)。大腿骨と脛骨、膝蓋骨と大腿骨の関節面は関節軟骨で覆われており、大腿骨と脛骨の関節面にはさらに半月板という三日月型をしたもう1つの緩衝材がある。大腿骨と脛骨には4本の靭帯(前・後十字靭帯、内側・外側側副靭帯)によって膝関節が前後左右に安定化されている。大腿四頭筋や膝蓋腱は伸展、膝屈筋は屈曲の働きを担っている。さらに、膝関節全体は滑膜という薄い膜で裏打ちされた関節包で包ま皮下組織真  皮表  皮筋  肉関節腔の局所解剖

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