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151章1血液透析器および血液透析濾過器のメカニズムと種類、構造血液側に補給することが可能となる。 したがって、血液と透析液の間では以下の物質移動が求められる。・血液中に蓄積している尿毒症の原因物質である小分子量の尿素窒素、尿素、クレアチニンを除去する。さらに、血液アミロイドーシスの原因物質である血液中のβ2-ミクログロブリン(β2-microglobulin:β2-MG)を除去する。・血液中のナトリウム、クロール、カリウム、リン酸などを正常化する。・血液中に不足しているカルシウム、重炭酸などを補給する。・生体に必要な蛋白質や血液中の赤血球などの有形成分を除去しない。一方、透析液中に存在する有害物質(細菌、ウイルス、発熱物質など)を透析液中に通過させない。そのため、ダイアライザの細孔はこれらの物質よりも小さくする必要がある。・限外濾過により過剰な水分の除去を行う。 ダイアライザの形状にはコイル型、積層型、中空糸型がある。 1コイル型 充填血液容量が大きく、リークの問題もあるため現在、市販・使用されていない。 2積層型 平板(平膜)状の透析膜(半透膜)を40~60程度の層状に配置し、それをプラスチックのプレートで挟んだ構造をしている。透析液はその隙間に流れる。 3中空糸型 内径200μm、膜厚が10~50μmの中空糸(半透膜)を約1万本束ね、両端をポリウレタン樹脂で固定し、それを円筒形プラスチック容器(ハウジング)に詰めた構造となっている(図1)。中空糸の管状構造側面には細孔(ポア)があり、この細孔を通して物質の移動が行われる。中空糸の内部(内側)を血液が流れ、透析液はそれと逆方向に中空糸の外側を流れている(向流)。特徴としては、単位容積当たりの膜面積が非常に大きく、血液の充填量を少なくできる。現在では中空糸型がおよそ98%と最も多く使用されている。図2に中空糸の模式構造を示す。 中空糸型ダイアライザ仕様は以下のとおりである。・細孔(ポア)の直径:平均径40Å(0.004μm) 用語解説β2-ミクログロブリンHLAclass1を構成する蛋白であり、リンパ系組織に由来する。アミロイドとなり、骨や関節に沈着し、骨や関節の痛み、変形、運動障害を起こす原因となる。透析器(ダイアライザ)の構造・形状について123

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