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171章1血液透析器および血液透析濾過器のメカニズムと種類、構造 血液透析における血液と透析液の流れには、同じ向きに流れる並流と逆向きに流れる向流がある。並流では、血液と透析液がともに同じ方向へと流れているため、その濃度差はダイアライザ入口で一番大きく、後ろへ流れていくにしたがってその濃度差は徐々に小さくなり、いわゆる溶質除去効率が低下する。一方、向流では血液と透析液が逆向きに流れているため、血液が流れるに従い透析液は新しくなり、拡散により透析液へと移動した溶質は血液の後ろへと流れていく(図3)。したがって、血液と透析液の濃度差が保たれ、溶質除去効率は並流と比べて高い。図3.中空糸型での血流と透析液の流れ(向流) 血液透析器として必要な条件には、以下の項目があげられる。・透析効率がよい。・毒性がない。・生体適合性が高い。・材質が均一であり、物理的に十分な強度、弾性がある。・物質の吸着、放出がなく、化学的に安定している。・大量生産が可能であり、安価である。 これらの条件を満たす透析器(ダイアライザ)が各メーカーから発売されている。大別するとセルロース系膜と合成高分子膜に分けられる。 1セルロース系膜 植物繊維を用いた膜で、わが国ではセルローストリアセテート(cellulosetriacetate:CTA)のみが製造・販売されている。従来のセルロース系膜と比較すると生体適合性がよく、平均細孔半径と開孔率をコントロールすることにより従来のセルロース系膜より低分子領域蛋白の除去率を上げている。内分泌攪乱物質であるビスフェノールA(bisphenolA:BPA)や透析中低血圧の誘静脈側(V)透析液の流れ動脈側(A)血液の流れ中空糸膜(約1万本くらい入っている)透析液出口側透析液入口側血液浄化膜の種類1

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