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206 入院中の感染症発症の要因 入院患者に対してはさまざまな医療の介入がある。原疾患のために必要な治療であっても、結果的に生体防御機能の低下の原因となり、感染症を発症しやすくなってしまうことがある。例えば、正常な皮膚は細菌の侵入を防いでいるが、静脈ルートを確保すると、皮膚のバリアが破綻するので、皮膚にいる菌が血管内に侵入しやすくなる。また感染症の治療のために、抗菌薬を使用すれば、目的の菌だけではなく、腸管内の常在菌も死滅するため、結果的に病原菌が繁殖しやすい環境ができてしまう。入院中に感染症を発症しやすくなる要因として、表1のようなものがある。表1. 入院中に感染症を発症しやすくなる要因・ 皮膚や粘膜のバリアの破壊(末梢ライン・中心静脈カテーテルなどの血管内カテーテル、気管内挿管、尿道カテーテル、手術など)・人工物の挿入(人工弁、人工血管、ペースメーカー、人工関節など)・抗菌薬による正常細菌叢の変化・ステロイド、抗癌剤、免疫抑制剤などによる免疫能の低下)

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