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1章2感染症の主要症候と主要疾患21 発熱、倦怠感、頻脈、頻呼吸などの全身症状や咳、下痢、関節痛などの臓器特異的な症状など感染症に伴う症状は多彩である。以下に感染症に伴う代表的な症候(症状や徴候)を述べるが、これらは感染症だけにみられる症候ではなく、非感染性疾患でもみられる症候である。本書では、感染症を中心に述べるが、感染症だけではなく、常に非感染性疾患も鑑別診断として考えることが重要である。 感染症で最もよくみられる症状であり、感染症を疑うきっかけになる。しかし、感染症以外の疾患でもみられるし、仮に感染症だということが分かってもどこの感染症かは分からず、特異性は乏しい。また、発熱がない感染症もあり、逆に低体温が重症感染症の徴候であることもある。 発熱にはいくつかのパターンがあり、疾患によって熱型は異なる。古典的には稽けい留りゅう熱、弛張熱、間欠熱、波状熱、周期熱などの熱型があるが、もともと熱型は非特異的である上に、測定のタイミングや解熱剤などの人為的な影響を受けるので、感染症の診断に役立つことは少ない。しかし、三日熱マラリアのように熱型が診断に役立つ感染症はある。典型的な熱型と原因疾患を表2に示す。どのような症状がみられるか発 熱Point①発熱はまず感染症を疑うが、非感染性疾患でもみられ、非特異的である。②血圧低下、頻呼吸、意識障害があれば、敗血症を疑う。③頭痛で最も注意すべき感染症は髄膜炎である。④気道症状を呈する疾患では、肺炎を見逃さないことが重要である。⑤腹痛を主訴とする感染症では、汎発性腹膜炎を最初に鑑別する。⑥.排尿時痛、頻尿などの尿路系の症状があれば尿路感染症を考えるが、性感染症も鑑別診断の1つになる。⑦発熱を伴う骨、関節痛があれば、骨髄炎や関節炎を考える。感染症の主要症候と主要疾患2

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