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1章1中心静脈カテーテルに関する局所解剖15 中心静脈カテーテル(CVC)は数多くの経路からの挿入方法があり、内頚静脈・鎖骨下静脈・橈側皮静脈・大腿静脈・尺側皮静脈の左右と鎖骨上から穿刺(右のみ)などがよく行われる。それぞれに特徴を解説する。1 鎖骨下穿刺経路(図1) 最も広く用いられるカテーテル挿入経路で、鎖骨の下方から鎖骨下静脈を穿刺して、鎖骨下静脈から腕頭静脈を経由して上大静脈まで挿入する。カテーテル留置後は他の経路に比較して感染のリスクが少ないため、安定した管理が可能である。 鎖骨下静脈は、通常鎖骨の内側1/3の背側に存在する。鎖骨下静脈を穿刺するには、この部位から鎖骨と第一肋骨の内側に存在する肋鎖靱帯との間の短く狭い隙間を狙う必要がある。鎖骨下窩(鎖骨の外側にある大胸筋外縁と三角筋内縁の間の筋肉の薄くなっている部位)から、鎖骨内側と第一肋骨内側との間の隙間を狙うのが古典的なランドマーク法である。一方、鎖骨の内側1/3 の背側を直接狙う方法もある。 いずれの方法でも、近接する鎖骨下動脈の誤穿刺と、肺の誤穿刺による気胸が起こりうる。これらを同時に損傷すると気血胸が起こる。また、カテーテル先端が内頚静脈へ迷入する先端位置異常などの合併症が他の挿入経路に比較して起こりやすいことが問題である。2 鎖骨上穿刺経路(経鎖骨上鎖骨下内頚静脈合流部穿刺)(図2) 救急領域でよく用いられるカテーテル挿入経路で鎖骨下静脈と内頚静脈の合流部を穿刺する方法である。鎖骨下静脈と内頚静脈の合流部付近には胸管が合流してくるため、胸管を穿刺して損傷すると乳にゅう糜びの漏出をきたすため、鎖骨上穿刺は左側からは行ってはいけない。 穿刺時の注意点としては、鎖骨下穿刺に比べると、皮膚刺入部から浅いところに血管が存在するため、2~3㎝で血管に到達する。この深さで血液の逆流を確認できなければ穿刺角度が間違っていることになる。穿刺成功率は高いが、深く穿刺すると気胸になるので注意が必要である。3 内頚静脈穿刺経路(図3) 麻酔科、ICUなどで多用されているカテーテル挿入経路で、穿刺時の気胸やカテーテル先端位置異常などの穿刺に伴う合併症が少ないことが特徴である。カテーテル挿入経路の解剖

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