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101章 アセスメントに活かす推論技術3)第3段階:情報収集した内容の確認(フォーカスアセスメント)次に、情報収集した中で特に注意しなければならないデータと他のデータを関連させながら患者がもつ健康問題に焦点を絞って、仮説を導くための意図的な情報収集を進めていきます。4)第4段階:主訴および主観的データと客観的データの整理第4段階は第3段階と同時に、あるいは反復しながら進めます。まずは、主訴に注目することが重要です。主訴はその患者の状態を示すキーワードになります。このキーワードをヒントに、主観的データとなる問診と客観的データとなる身体診査を行います。また、検査値や測定値も客観的データとして確認します。そこから原因や要因の追究を行うとともに、苦痛の程度、随伴症状、患者自身の健康についての認識の程度や対処行動に焦点を絞り、看護師としての解釈・分析をし健康上の問題の仮説を定めます。5)第5段階:データの裏づけ(検証)次の段階では、データの裏づけを行います。ここでは①検査結果の正常値や基準値との比較をする、②前回の測定値や状態との比較をする、③看護師の推論の内容を患者に直接確認してみる、④ベテランナースに推論の内容について意見を求めるなどが挙げられます。6)第6段階:全体像の統合最後の段階では、アセスメントツールの項目ごとに解釈・分析したことをまとめ、患者の全体像を理解します。このとき、疾患の背景とその時点の病態、疾患による患者の生活の変化に注目して、看護上の問題(看護診断)を見極めます。3臨床判断と臨床推論臨床推論のほかに「臨床判断」という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。米国の看護教育者であるクリスティーン・タナー(Christin A. Tanner)は、看護過程は系統的に考えるために必要ではありますが、活用のみにとらわれていると、看護の判断能力が狭くなり、アセスメントの項目を埋める作業になりかねないことを危惧し、看護過程モデルとは異なる臨床判断モデルを開発しました(図1-3)1)。例えば、入院患者を受け持つ看護師は、まず患者が入院に至った経過と主訴(背景)を確認してから、ベッドサイドに向かいます。そのときの看護師は、患者の状態を頭の中で描く予期を行っています。そして、患者への問診や身体診査などの観察(初期把握)によって確認したことをもとに、経験や知識などをからめて患者の健康問題をとらえ、必要

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