11な看護を考え(解釈)、看護(行為)を決定します。このときに重要なのが省察(reflection)であるといわれています。省察には、行為中に得た患者の反応に対し、過去の経験を活用しながら問題解決に導く「行為の中の省察(reflection in action)」と、行為後に、行った実践を事例として省みる「行為後の省察(reflection on action)」があります。これらの省察が、実践経験を教訓とした学びとなり、繰り返し行うことで看護の質の向上につなげることができるのです。4そもそも臨床推論ってなに?1)臨床推論とは 臨床推論とは、最適な判断(診断)や治療を決定するための思考過程を指します。臨床推論は、医学では、診断を導く思考過程であり、診断推論と同義といわれています。つまり医師は、患者の症状や徴候から情報を系統的に収集し、検査結果などから複合的に診断名をつけて治療計画を立案します。これを看護に置き換えると、患者とその家族を対象に、看護判断に基づく最良の看護行動を起こすための思考過程といえます。したがって看護師は患者の身体面、心理面、社会面の各側面から健康と生活についての反応や現象を多面的にアセスメントします。その過程では、患者の健康問題の仮説を立て、仮説の検証のために情報を集めます。さらに、その健康問題の原因となっている疾患や病態についての情報収集や解釈を行い、健康問題の核心を見極めます。そして、健康問題の原因に働きかける看護計画を立案し看護を提供します。また、ケアの実践過程においても常に臨床推論と解釈を繰り返しながら看護行為を行っていきます。図1-3 タナ―の「臨床判断モデル」(松谷美和子ほか.看護過程と「臨床判断モデル」.看護教育56(7)2015,618/Tanner, CA. Thinking like a nurse:a research-based model of clinical judgment in nursing. Journal of Nursing Education. 45(6), 2006, 204-11. を参考に作成)反応気づきコンテクスト解釈推論パターン 分析的 直観的 説話的看護師の背景予期行為患者との関係性初期把握行為後の省察・臨床の学び行為中の省察検査
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