81章 アセスメントに活かす推論技術1なぜアセスメントに臨床推論が必要か看護過程は、対象の健康上の問題を看護の視点から認識・分析し、ケアを提供する系統的な方法です。看護過程におけるアセスメント(assessment)は、患者の健康および生活上の問題に関する判断をするために「情報収集」「情報を整理し分析(解釈、判断、推理・推論)」「情報の統合」を繰り返し行っていきます(図1-1)。情報を整理し分析するためには、「解釈」「判断」「推理・推論」が必要です。「解釈」とは、「自分なりに〇〇の意味を理解する」「〇〇をわかるように説明する」ことであり、患者の情報(態度、表情、行動、反応など)の意味を言語化する知的作業です。さらに時間を追うごとに最新の情報を加えながらその時点における状況や問題を適切にくみとり、理解していくことです。「判断」とは、一般に「勝ちか負けか」「白か黒か」などを判定する、あるいは何かを採用するか否かを決定することをいいます。したがって、判断には一定の基準や根拠があります。そしてこれも基準や判定結果を言語化する知的作業であるといえます。つまり判断は必ず解釈の後に行いますが、さまざまな知見や考えを取捨選択したり、統合することでもあります。「推理・推論」とは、今はわからなくても、現在有する情報からこれから起こりうることをいろいろと予測することです。できるだけ正確に予測するには、解釈や判断のステップをきちんと踏むことが必要となります。あらかじめ予測することで起こり得るよくない事象を未然に防ぐことができます。このように、患者の健康問題を明らかにするアセスメントは、患者が抱える問題を絞り込み、解決するための最適な方法の選択やその方法がどのように効果的かを予想し判断するために必要なものなのです。図1-1 看護におけるアセスメント情報収集情報の統合情報を整理し分析(解釈、判断、推論・推論)
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