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9第1章 まずこれだけは! 医療事故調査制度の仕組みと医療現場に求められること従って、医療事故報告に際しては、「当該医療事故にかかる医療従事者等の識別(他の情報との照合による識別を含む)ができないように(匿名化の)加工」をすることが求められています(医療法施行規則第1条10の4第2項より)。また、院内調査報告書の冒頭では、「現場の医療従事者の責任追及を目的としたものではない」という旨を記載することも必要です(施行通知より)。なお、報告書を訴訟に使用することについて、刑事訴訟法、民事訴訟法の規定を制限することはできません。それでも、調査の実施にあたって、医療事故の原因を個人の医療従事者に帰するのではなく、あくまで医療の質向上のため、医療事故が発生した構造的な原因に着目することが重要となります。2.発生時の医療事故判断から 調査・センター報告までの流れ医療事故が発生した場合、制度に沿った調査の流れを以下に示します(次ページ図2)。これらは全て管理者の責任として行なわれます。①まず、本制度の対象となる医療事故であるかどうかを判断します。具体的に対象となるのは、「医療に起因し、または起因すると疑われる死亡・死産」であり、かつ「管理者がその死亡・死産を予期しなかったもの」です。②医療事故と判断されたら、遺族に「医療事故の日時、場所、状況」と「本制度の概要」、「院内事故調査の実施計画」を説明します。前者の説明は制度の外で一般的に行なう説明となりますが、後者はそれとは別に行なうことが求められます。③医療事故調査・支援センター(以下、センター)に、本制度の対象となる医療事故が発生した旨とともに、厚生労働省令で定める事項を速やかに報告します(次ページ図3)。報告に関する具体的な期限は定められていませんが、正当な理由なく漫然と遅延することは認められません。従って、概ね10日から2週間以内には報告すべきと考えられます。④院内において、当該医療事故の発生原因を明らかにするための調査

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