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ほぼほぼ1 役割を引き受ける 11うと、チームメンバーには命令口調になってしまうかもしれません。急ぎの判断が迫られた時は許されますが、それが続いてしまうと問題です。自分の思いばかりが先走ってしまって、チームメンバーから「任期中は好きにさせておけば」と思われるようになっては、チームの機能は絶対に向上しません。 むしろ「自分がリーダーで良いのでしょうか」と思うくらいの人が良いのです。地位が人を育てる、という言葉があるくらいです。「リーダーなりたての期間」は、これからリーダーとして成長することができるのかどうかの出発点です。チームメンバーが自分より年上だったり、キャリアが長い人が多かったりすると、引け目を感じてしまうかもしれません。しかし安心して下さい。現代のリーダーとは「組織の役割の一つ」なのです。リーダーとしてのスキルはこれから磨いていけばよいのです。自分がすべての領域で、チームメンバーより優れている必要はありません。特に医療の領域など、その道のプロフェッショナルばかりを率いるときには、そんなことは不可能なことは自明でしょう。 バダラッコ*3は『静かなリーダーシップ』を提唱しました(詳細は「第2部 理解編5 気になるリーダーシップ理論」参照)。「リーダーシップを持続的に発揮するためには、通常はインサイダー(組織の機密を知る人)になることが必要である……自身にも気を配り自分の地位を守って、交渉の場などにとどまり続けなければならない。すなわち、健全な利己主義の感覚が必要である。マキァヴェリ曰く『社会的地位の無い人間には、犬さえ吠えない』。」と言っています。時には沈黙し、時にはイエスマンにならなけ*3 バダラッコ…ジョセフ・バダラッコ(Joseph L. Badaracco, Jr.)。ハーバードビジネススクール教授。真のリーダーとはヒーローではなく、慎重に問題を解決していく人々であると主張し、『静かなリーダーシップ』という視点を確立した。

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