はじめに 本書の使い方 ―リーダーシップの学び方 組織のリーダーとはどのような存在なのでしょうか。リーダーはどのようにふるまうべきなのかは、昔からの課題です。多くの場合「習うより慣れろ」で、個人の努力によってリーダーとして成長してきました。教科書などを読まなくても立派にリーダーをつとめている人は数多くいます。しかし現代は、チームとして組織として仕事を行い、しかもスピードが求められます。リーダーシップがいつまでも自己流の世界だと、次の人に伝えることができません。リーダーシップとはどのような能力(資質)であるのか、それは伝えていくことができるのかについては、膨大な研究が積み重ねられてきました。 リーダーシップ開発という分野も、日本ではまだこれからですが、欧米では長い歴史があります。しかも医療のリーダーシップという分野も確立されつつあり、分厚い教科書だけではなく定期的な研究雑誌も出されています。数年前には「グローバル・コンソーシアム」という多国籍団体が作られて、医療のリーダーシップについて国際的な標準化も始まることになりました。 本書では、こうした世界的な動きをふまえた上で、「明日からすぐ役に立つ」リーダーシップのノウハウを解説したいと存じます。リーダーシップは机の上の学問ではありません。実践です。リーダーシップとは何かという、重要ですが面倒くさい話はあとに回します。医療のリーダーはまず「何をすべきか」から始めます。 時間のない人は「第1部 実践編」だけを読んで下されば、だいたいわかります。 時間が確保できる人は、「第2部 理解編」の「医療のリーダーシップを概観する」と「マネージャー、コンピテンシー、パーソナリティ」をまず読んで、医療のリーダーシップの全体像と用語をしっかりとらえて下さい。それから「第1部 実践編」に戻ると、体系的に理解していくことができると思います。医療のリーダーシップの世界潮流を知るために、「第3部 資料編 グローバル・コンソーシアム:医療マネージャーのためのリーダーシップコンピテンシー」では、全文の日本語訳を掲載しています。本文と合わせて参照していただければ幸いです。
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