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ほぼほぼ1 役割を引き受ける 9悪くなって突然リーダーに指名されることもあります。他に人がいないからという消去法で選ばれてしまった可能性もあります。あなたはその現場をよく知っているので、リーダーの業務についても大まかには知っています。突然リーダーをやることになっても、それなりの仕事はきっとできることでしょう。しかしリーダーを始めてみると、これまで見てきたことと、実際にやることの違いに気づきます。きちんと指示したつもりなのに、人は自分が思ったように動いてくれないというのは、誰もが感じることです。また逆に「そんなやり方にはついて行けない」などと言われることもあります。 組織の中で働いているうちに、リーダーの大変さをうすうす感じていている人にとっては、引き受けたくない仕事かもしれません。リーダーを選ぶにあたっては「やりたい人よりさせたい人」という言葉があります。自分では、仕事もできてキャリアもあり、もうリーダーに選ばれて当然だろうと思っていても、周囲の評価は実はそれほどでもない、ということが多いものです。しかし結果として、今回「あなたにはリーダーをしてほしい」と期待されたのです。 名著『組織文化とリーダーシップ』を著したシャイン*2は、「(組織の)文化がリーダーに対する基準を作り、その結果誰がリーダーにふさわしく、誰がふさわしくないかを決定する」と言っています。組織文化という言葉はシャインによって有名になりました。これは、人々の関わり合いの中で観察される行動上の規則性、組織において尊重される価値観、組織のルール、言葉を発しなくても伝わる感情や雰囲気などの要因が混じり合っ*2 シャイン…エドガー・シャイン(Edgar Henry Schein)。アメリカの組織心理学者。個人や組織の行動に影響を与える要因を研究して、組織文化という概念を先駆的に構築し、名著『組織文化とリーダーシップ』は今なお古びていない。

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