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臨床倫理は患者の意思や希望(しっかりとした意思)を医学的にも社会的にも妥当な範囲でできるだけ尊重し、実現することですから、①患者のしっかりとした意思がわからないとき②しっかりとした意思が医学的妥当性、社会的妥当性を満たさないときに臨床倫理的課題は発生します。 患者の意識が低下しているときは、しっかりとした意思は不明ですし、また、患者からしっかりとした意思が表出された場合でも、それが医学的妥当性、社会的妥当性を満たしているとは限りません。①、②は手術など、特に命にかかわるような大きな診療・ケアを実施する際に起こりやすいと考えられます。 一方、大きな診療やケアに関係する場面ではなく、日常の現場において、医師からの指示や患者の希望をいざ実行しようとしたとき、「ちょっと、変な気がする」「少し、引っかかる」「モヤモヤとしてすっきりしない」と感じることはありませんか。 このほんの少しの違和感やモヤモヤ感があるときは、実は、臨床倫理的課題に遭遇しているときかもしれません。すなわち、医師の指示や患者の希望がG領域に属していない可能性があるのです。③日常の現場でモヤモヤ感があるときにも注意が必要です。 モヤモヤ感は非常に大切です。モヤモヤ感を大切にすることは臨床倫理的な感性を磨くことに繋がります(図2)。2臨床倫理的課題が発生するとき14
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