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 2018年度診療報酬改定において、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえて在宅患者支援や在宅ターミナルにおける意思決定支援を行うことが、加算の要件として加えられました。超高齢社会を迎え、医療やケアの提供者はますます、提供する医療・ケアについて患者やその家族の考えを引き出し、寄り添って判断していく力を求められているということです。そのためには専門職それぞれが「倫理的に」考え、配慮できることが欠かせません。 医療の現場では、重大な事柄から日常ケアにおけるささいな事柄まで、倫理的な観点が問われる場面でどう判断したらよいのか悩むケースが多々あるのではないでしょうか。「治療やケアは本当にこれで良いのだろうか」「患者さんへの対応のしかたは良かっただろうか」と考えるとき、患者さんを中心に、家族や医療・ケアの提供者それぞれの立場によって「良し」とする答えが異なるということは、しばしば起こっているのではないかと思います。 そのようなとき、より良い判断をするための根本にあるものが「臨床倫理」です。しかし、「倫理」という言葉にはとっつきにくさや、どのように学べば良いのかわかりにくい、という印象があることは否めません。 兼児敏浩先生が提唱されている3視点図フレームワークは、患者の意思、医学的妥当性、社会的妥当性の3つのバランスで倫理的判断を検討していきます。兼児先生の序文でも紹介されていますが、安全管理室で現場から寄せられるさまざまな相談に応じていくなかで考案された3視点図は、現場スタッフにとって感覚的に理解・活用しやすいものとなっています。 当書籍ではこの3視点図の考え方を1章で解説し、2章で事例を元に3視点図フレームワークを活用した考え方を解説しています。各所に盛り込まれているコラムも「倫理」について考え、身につけていくうえで大変参考になるでしょう。 また、3章では倫理を考えるうえで心得ておきたい法律的な視点、診療記録の視点、コミュニケーションの視点についてそれぞれの専門家が紹介しまはじめに2

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