301050450
4/14

4序 医療にはさまざまな専門職者がおり、多職種が連携してよりよい医療を目指しています。しかし、仕事の内容、立場、背景が異なる者が働いているところには落とし穴もあります。情報伝達(コミュニケーション)がうまくなされないことがあるのです。情報が正しく伝わらない、つまりコミュニケーションエラーが生じてしまうと、患者の安全が脅かされてしまいます。 「伝えたはずなのに」「あのとき、言っていれば」と思うことがあるのではないでしょうか。コミュニケーションエラーをなくすことは医療安全にとって大きな課題です。なぜ、コミュニケーションエラーが発生するのでしょうか。それらが生じる原因を理解し、適切な対策をとることが必要です。 本書では、心理学的な観点から、なぜコミュニケーションエラーが生じるのかを第1章で説明しています。第1章を読んでいただくと、コミュニケーションをどう捉えるべきなのか理解いただけると思います。そして、コミュニケーションエラーを種別に分類しました。それぞれのエラーの種別に応じて、その対策も異なってくるからです。 第2章では、コミュニケーションエラーの臨床事例を紹介し、どのようなエラーの種別になるかを分析しながら、具体的な対処法を示しています。各事例について、マンガを交えてわかりやすく説明しています。第2章を読んでいただくだけで、コミュニケーションエラーにどう対処すればよいのか理解いただけると思います。 ただし、医療安全の問題は組織として取り組まなければなりません。とくにコミュニケーションについては組織的な取り組みが重要です。第3章では、心理学の観点、看護師の観点、医療安全管理者の観点、それぞれの観点から、どのようにしてコミュニケーションエラーを防げばよいのかを説明しています。 本書が、コミュニケーションエラーの防止に役立ち、医療安全のために貢献できれば幸いです。2019年7月松尾太加志

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る