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8 1 全体像と構造のつながりの両方を押さえる概念化スキルは、「出来事の大枠を理解」し「本質を見極める」スキルのことをいいます。組織の管理、分析、計画や問題解決、スタッフ育成業務を行う看護管理者にとって概念化スキルが重要なのはいうまでもないでしょう。大枠を理解するとは、すなわち「全体像」を捉えることです。全体像を捉えるためには、視座を高めつつ、視野を広げなければなりません。正面から見えないものがあれば、角度を変えて見る必要があります。「リーダーシップ」「しくみ」「風土」などの普段は見えないものも、たとえばアンケートを取ったり、聞き取りなどを行い可視化した結果から推察して見ようとしなければなりません。また、初めて行う業務においては、論理的に仮説を立てて実行・検証しながら、どうなるのかを類推しつつ全体を俯瞰することが大切です。出来事の大枠を捉えるこれらの行為は、「鳥の目を持つこと」といってよいでしょう。管理者は、全体像を捉えたうえで組織において全体最適を目指すのです。 本質を見極めるには、事細かに観察しながら、どんな要素が何から構成されているのか、その構造を明らかにし、何がどうつながっているのか、どんな関係性になっているのかの詳細を明示することが必要です。大枠を理解する「鳥の目」に対して、本質を見極めるこれらの目は「虫の目」といってよいでしょう。よく、「管理者は鳥の目と虫の目を持ちなさい」と言われますが、大枠を捉え本質を理解することと考えれば、この言葉は「管理者は概念化スキルを持ちなさい」と言っているのと同じなのです。 2 看護管理者に求められる役割は幅広いさて、今の看護管理者を取り巻く環境を見ると、管理者に求められる管理業務は、以前に比べて格段に増加し、かつとても複雑になりました。現場では、日々なぜ看護管理者に概念化スキルが必要なのか1

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