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第1章 概念化スキルが業務の質を変える9起こる問題・課題を解決しながら、新人から中堅、ベテラン、スペシャリスト、短時間勤務者などの多様な働き方をするスタッフの教育・労務管理が求められます。看護必要度を常に把握しながら、退院支援や多職種との連携、地域との連携とさまざまな管理場面において本質を捉えた対応、問題解決をするために概念化スキルが求められるのです。概念化スキルは、自部署において成果を出し、質の高い看護を提供するにあたって、管理者が持ち合わせておかなければならない必須のスキルといってよいでしょう。私は全国の医療機関や看護協会などの研修で講師を務めるなか、多くの看護管理者と会い、管理事例のグループワークや組織分析、部署目標立案などの演習に関わっています。そこでは、残念ながら看護管理者がいかに概念的思考に弱いかという現実に出くわします。具体的な問題、目に見える問題には考え・対応できるのですが、「見えないもの」が原因となっていると思われる問題解決には、からっきし弱いのです。見えないものを見ようとせず、ひたすら見えるものにこだわるのです。一般的に、類推する力や仮説を立てる力、論理的思考が弱いと見えないものを把握することが難しくなるとされます。 3 概念化がもたらす結果概念化の定義として、具体的な事実情報や目に見えている事象などに、より明確で深い意味を持たせることが挙げられます。いくつかの具体的な事象や情報から共通な要素を取り出し、その要素を説明したものを概念といいますが、概念は、具体的な事象を個々に眺めていた時にはわからなかった本質的な意味を言い表していることも多いのです。概念化ができると、個別の事象をそれのみで捉えず、他の事象との共通点や相違点まで考えることができます。また、1つのことから多くのことを学び、さまざまなことに気付くことができるのです。次に、概念化スキルが高い管理者の特徴を列挙します。図示すれば、図1-1のようなイメージです。

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