スタッフ間のノンテクニカルスキルが足りなくて発生する事象を「チーム医療不全」と呼んでいますが、医療現場で発生する事故のほとんどはチーム医療不全が原因です。ある裁判官から、チーム医療不全も「過失になり得る」と聞きましたが、世間一般で使われているノンテクニカルスキルを知らなかったり、使えなかったりすると、過失になってしまう可能性があるということです。 このように、医療安全管理者はいろいろな研修を企画しなければいけません。 医療安全研修の「い・ろ・は」の「い」は「いろいろな研修を企画する」、となります。日常のなかに研修があり、日常の研修も企画して、知識も技能も学べるものにする必要性があります。院内研修の概要 院内研修を取りまとめる部署は、院内で開催されるあらゆる研修のテーマ、研修方法、要する時間、参加対象者、関係資料等を院内に公開します。医療安全に関する研修もこの研修に含まれます。時間の都合上eラーニングとなる研修も含まれます。繰り返して開催される研修もあります。 部署別に配置された研修統括者は、自部署スタッフが高度の医療を提供するためにはどの研修が必要か考え、必要な研修を選択して自部署の研修プログラムを作成します。また、各研修の評価の方法を提示すること、研修計画全体の評価をすることも求められています。 すべての職種に求められる「業務の管理に関する研修」もあります。医療安全研修に求められること 医療安全部門に配置された者は、高度な医療に関する医療安全の研修を準備し提供することが求められています。「医療安全管理者の業務指針および養成のための研修プログラム作成指針」1)(以下、厚労省指針とする)があります。 その中の「医療安全に関する職員への教育・研修の実施」を表2に示します。 また、特定機能病院に求められている職員研修の内容には、表3のA、Bのような医療法施行規則の項目があります。 研修テーマを決める 医療安全研修のテーマは、法や倫理についての研修、医療の質の向上と安全の確保のための研修、コミュニケーション研修、多職種チーム医療の研修などの画一的な研修と、発生した事故等をきっかけにしたその都度の研修があります。 また、新しい術式の導入、新しい又は更新したルールや手順、医療機器、医薬品など、たえず新しくなったり、変化したりするものに対して、その都度知識と技能を学ぶ12
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