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第1章 今なぜ目標管理なのか11プリセプターという役割を与えられたのであれば、「担当する新人の技術チェックを年度末までに○%クリアする」であったり、「新人Aが12月までに夜勤独り立ちができるようになる」などの成果目標を考えることでしょう。このように役割には必ず成果が期待されるため、目標管理と連動させやすいのです。そして、スタッフは役割からの目標を達成しようとして、1年間がんばります。この1年間のがんばりから能力が開発され、役割を与えられたスタッフの成長につながっていきます。すなわち、目標管理を活用することによって、スタッフは成果と成長の2つの結果が得られるのです。 では、そもそも目標管理制度のエビデンスは何かについて考えてみます。基本的には、心理学者のアブラハム・マズローの欲求5段階説、心理・経営学者のダグラス・マグレガーのXY理論によると考えられます。1アブラハム・マズローの欲求5段階説(図1-3) 皆さんも必ず一度は習ったであろう欲求5段階説ですが、下位の欲求、すなわち生理的欲求・安全の欲求・所属の欲求は、日本の医療機関に勤務する看護師であれば、ほぼ満たされているのではないでしょうか? 組織管理の観点からいえば、下から4番目の自我の欲求の段階を満たすことが大きなポイントとなります。自我の欲求は2つに分かれます。1つ目は仕事の遂行や達成。2つ目は、そのことにより他人から注目され賞賛されることです。すなわち、目標とした業務を達成し、上司や同僚から認められたいという欲求といえます。このことから、目標管理のエビデンスの1つは、まさにこの自我の欲求にあるといってよいでしょう。 最上位の自己実現の欲求は、あるべき自分になりたいという欲求です。看護師に置き換えれば、当年度の目標を達成し、さらにキャリアアップして「なりたい目標管理制度のエビデンス3

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