10キャリアデザインの理論章1}}キャリアを“生き方”としてとらえてみる 看護職にとってキャリアとは、どのような意味合いをもつ言葉でしょうか。組織の階梯(階段)を昇る、あるいは、興味のある専門分野を極めるといったようにとらえられることが多いかもしれません。本書では、キャリアの枠組みを広げ、“生き方”としてとらえ直し、自分の生き方と看護職としてのキャリアをどのように融合させながら、自分なりの人生のテーマを再構築していくのかを考えていきます。 看護職の働く環境は、情報があふれています。それ故に、目の前のことに捕らわれがちです。そうはいっても、目の前のことばかりではなく、社会の動きにも関心をもたなければと考えて情報収集する看護職もいます。目新しくキラキラして見える、自分を幸せに導いてくれそうな情報があると、飛びつきたい気持ちにもなります。しかし、情報というのはさまざまな意図が隠されています。情報に右往左往するのではなく、その情報元の意図を確認しつつ、自分自身の生きる意味とどのようにつながっているのかを確認できなければ、自分の人生を生きることはできません。「あなたの人生のテーマはなんですか?」。}}「大事にしたい看護」を考えることがキャリアを考えることにつながる そもそも、キャリアデザインは働き方のデザインと考えられます。「キャリア」と言われると「就職」や「経歴」「転職」「出世」「昇進」「資格取得」などをイメージする人もいるかもしれません。しかし、「キャリア」という言葉は生き方を示すものであり、よく引用されるダグラス・T・ホールによって「キャリアとは、ある1.看護のキャリアをデザインするということ
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