3はじめに 1999年に日本国内で電子カルテが認められてから20年を経過した2019年。その普及率は40%程度に留まり、オンライン診療は1%に満たず、医療・介護界は電子化、オンライン化に慎重でした。 この状況を一変させたのが新型コロナウイルス感染拡大です。初診からのオンライン診療、電話等再診、オンライン服薬指導。算定できる対象疾患の拡大などの規制緩和は、あくまで時限的な特例措置です。が、今後起きるかもしれない等、それ以上の脅威に備えるべく恒久化へ審議中です。入院医療に目を向けると院内感染の脅威の中で、医療従事者も患者や家族も「安全に、持続的に、効率的に、安心して、医療・介護サービスを提供できる・受けられる」を目指してリモートケアを、患者と家族にはスマートフォン(スマホ)やiPadなどを活用したオンライン面会など、今までにないサービスを私たちは実行しています。 また、深刻になっているのが、院内の各種会議や地域連携会議、院内研修、採用面談の中断です。これらのことは事業戦略を脅かす一大事です。2020年5月4日、新型コロナウイルスの対策を検討する政府の専門家会議は、長丁場の対応を前提とした「新たな働き方」の具体例案で次のような提言を出しました。 働き方の新しいスタイル ●テレワークやローテーション勤務●会議はオンライン ●時差通動でゆったりと●名刺交換はオンライン ●オフィスはひろびろと●対面での打合せは換気とマスク ところで、映像によるコミュニケーションには、本格的なテレビ会議システム(ハードタイプ)と、パソコンやスマホなどにアプリをダウンロードして利用するWeb会議システム(クラウドサービス)があります。そしてWeb会議システム(クラウドサービス)の中でも大きなシェアを占めているのがZoomです。 これは日常的に活用しているパソコンやスマホのアプリで、テレビ会議システム(ハードタイプ)と同様に映像(ビデオ)と音声での対面式コミュニケーションをとるために開発されています。Googleアプリとの併用、ホワイトボート、資料共有、チャット、録画、ブレイクアウトセッションなど、さまざまな機能を活用することで、リアル会議以上の集中力や効果を手に入れることができます。課題となるのは私たちの情報リテラシーです。この書籍が、ICTへの苦手意識を払拭し、働き方の新しいスタイルに挑戦する皆さんの支えになれば幸いです。 2020年10月永井 則子
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