301080110
8/12

8統計学はニガイ! と思い込んでいるから飲み込めない 統計学とは「バラついている情報を客観的に分析し,評価する学問」のことをいいます.例えば,何かしらの看護対策が患者の健康に及ぼす影響を研究する場合,どの施設の看護師が同じことを行っても,同じ効果(結果)が出ることが求められます.これを科学的(客観的)に証明する分析方法の1つが統計学です.逆にいえば,統計学的分析方法で証明された研究結果(結論)は,研究方法の各種条件が同一であれば,どこの施設で,誰が行っても同じ結果が出ること(再現性)を意味します. しかし,統計学的分析方法が必要な量的看護研究にもかかわらず,「数値の大小」や「%の大小」で研究結果(結論)を示したものがよく見られます.残念ながらこれらは,科学的な(客観性に優れた)看護研究とは見なされず,結果の信頼性や妥当性は著しく劣ると判断されます.この場合,再現性があると論じることは困難です.実際に,同一の研究を「数値の大小」や「%の大小」で算出した場合と統計学的分析方法で算出した場合,同一の結果を示さないということはよくあることで,量的看護研究に統計学的分析方法が要求されている理由は「ズバリ」ここにあるといえます. 看護師が量的看護研究を避けたがる理由の1つには,収集したデータに適した検定法を判断できない点にあるのではないか? と想像します.ここ数年の看護学会の集録集や論文集を拝見したところ,収集したデータに対し,およそ適当とは考え難い検定法を適用している看護研究がいくつか散見されます.看護研究者は,量的看護研究においては,分析方法である検定法の選択の誤りが結論の信頼性に著しい影響を及ぼすことを理解し,看護研究に臨む必要があると考えます. 例えば! 収集したデータに適した検定法が「パ!パッ」と判断できれば,誰も苦労1なぜ!量的看護研究に統計学か?看護研究に統計学的分析方法が 「なかなか」活用されないワケ!?21基礎編

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る