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 臨床ナースに「看護研究」への取り組みが求められる理由は,臨床の場で生じた看護上の問題に対する「研究的な姿勢」が,看護実践や看護の知識体系の改善に強く結びつくと考えられているからです.また,研究活動を通して得られる「自分の仕事(看護)を見つめ,科学的に対象(人の健康)を考える」という経験は,私たちにナースとしてのみならず1人の人間としての成長を図る機会を与えるともされています. 実際,多くの施設では臨床ナースに対し看護研究を“輪番制”で担当させています! それほどまでに看護研究の実践は多くの臨床看護の場で“要請”されています.にもかかわらず,ほとんどのナースは,看護研究に関して系統立てられた教育を受けないままに研究に取り組まされているのが現実です.そのうえ,多忙な臨床業務と並行しながら取り組んだ研究が,指導者から何度も“ダメ出し”され,なかには“ボツ”にされ一からやり直しを命じられる場合さえあります.対策としては,看護研究のスタート地点につくための,「業務改善と看護研究との違い」を理解できる力,かつ「看護研究計画書」を正しく作成できる力を身につけることが一法となり得ると考えられます(指導者側には,そこまで導くための知識・育成力が必要です). そこでこのたび,「看護研究計画書」の書き方を学ぶことを通して,看護研究をスタートするまでに必要な知識が身につく! という,一石二鳥で看護研究初心者をサポートする!? 至れり尽くせりの書籍を企画させていただきました(もちろん,看護研究指導者の方にも参考にしていただきたいという思いを込めて内容は企画しております).内容的には,ムズカシイことは思い切ってカットし,看護研究初心者が知りたいけど,どの参考書を開いてもなかなか書かれていないことバカリを集めて書いたつもりなので,かゆいところに手がとどきやすい1冊になっているのではないかと思います.なかなか本を読む時間を作るのはムズカシイとは思いますが,1日30分間! この書籍をパラパラとめくりつつダラダラ読み進めさえすれば,読み終えるころには,もう“はじめての看護研究”を怖がる必要はなくなっているハズです. 執筆者は,本書の読者となるみなさん(臨床ナース)と同じ立場で活躍する現役の臨床ナース(ただし,♂)です.みなさんを取り巻く背景や環境・事情はよく理解したうえで内容を構成していますので,安心して読んでいただけると思います.この書籍を通じて1人でも多くのみなさんの看護研究が成功するよう切願しております. 2013年8月20日おそらく、人生で一番暑い夏の大阪にて…及川慶浩  はじめに

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