10▼クリエイティブをケアにつなげる白石:まずは、吉岡さんの今のお仕事について教えてください。吉岡:いまは、デジタルアートと3Dプリンタなどのクリエイティブをケアに生かす活動をしています。二〇一九年に会社を立ち上げました。今後、高齢化が進み、患者さんも在宅に移行していくと思いますが、医療が十分に受けられない人が増えると懸念されていますよね。看取り難民とか。ケアにかかわれる人材を増やしていかないとサービスなどの資源が足りないなかで、なにか代替してくれるものが必要ではないかと思ったんです。例えば食事のときにむせこんでしまう患者さんがいたとします。どうやら一口の量が多いのではないか、とアセスメントしますよね。そこで、一回量を減らす計画を立てます。方法としては、見守りとか食事介助になるかもしれませんが、そうなると看護師が一人必要ですよね。だけど、小さいスプーンで一口量を少なくすれば、物がケアの代理になります。しかもそのスプーンが本人の手の形や大きさにぴったりであれば、患者さんの満足度も上がると思うんです。そうした提案が、『看護とクリエイティブ』をつなげていくことになるのかなと思います。そのひとつが、3Dプリンタを使ったケアに生かせるものづくりの活動です。白石:私もなんとなく工夫してやっていたことですが、物がケアの代理をしてくれるというのは
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