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クリエイティブな選択肢を持つこと吉岡純希11章1新しい気づきで、たいへん興味深いです。吉岡さんの実際の活動をもうすこし詳しく教えてください。吉岡:僕は、慶應義塾大学看護医療学部の宮川研究室にて、『FabNurse Project』というものづくりとケアをつなげる活動をしています。これからは個別性に合わせた一品ものを作るハードルが下がり、個人の課題に合ったアプローチができるようになっていきます。それがものづくりのいいところだと思い、先駆けて活動をはじめました。白石:例えば、個別性に合わせた一品とはどのようなものがありますか。吉岡:ガ※ーグルベースンがそうです。安いものだと百円ショップでも売っていますよね。だけど、るい痩そうがある人が使うと、顔にフィットしなくて脇から漏れちゃうことありませんか?「もうちょっと物を患者さん側に寄せることができるのでは……」と思ったんです。そこで、顔の輪郭に沿って型をとり、ぴったり合うガーグルベースンを作りました。患者さんが、「こぼしてしまった」「自分ではできなくなった」と自尊心が傷つくことがなくなり、服がぬれて着替えさせなきゃいけない家族の負担を減らすことができます。物が患者さんをサポートする一つの事例ですね。白石:すごいですね。普段看護師としてバタバタと働いていると、見過ごしてしまいそうな場面ですが、ケアに使うもの自体を良くしようという発想はイメージがわきました!※ガーグルベースン…ベッド上で嘔吐物や口を洗った水を受けるのに使う器。

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