302010241

11/12

52 圧力の表記はいろいろ　圧力の表示方法には、この他にもいろいろな表記があります。水銀の代わりに水柱で表記した○○cmH2O（○○センチエイチツーオー、もしくは○○センチ水柱）もよく使われます。例えば、人工呼吸器の気道内圧はこの○○cmH2Oがよく使われます。cmH2OとmmHgの関係は、水銀の水に対する比重が13.6なので、Point③ 　基礎760 mmHg ＝ 760 × 13.6 mmH2O ＝ 10336 mmH2O ＝ 1033 cmH2O基礎知識：水銀の比重：13.6（水を1とした時の同じ体積の水銀の重さは13.6倍）となります。また、圧力は国によっても表記が異なります。例えばドイツではbar（バール）、イギリス・アメリカのボンベの圧力はpsi（ポンド・スクエア・インチ）が使用されています。いずれにしても、圧力に為替レートを掛ければPa（パスカル）やmmHgに簡単に変換できます（表1）。　さて、どこにでもある水を使った水柱圧cmH2Oで気体の圧力を表記せず、なぜ水銀柱mmHgが使われたかという話と、圧力の単位torr（トール）はサイエンスボックスを読んでください。補足＝（イコール）：等しい≒（ニアリーイコール）：ほぼ等しいtorr（トール）とトリチェリ博士　1643年イタリアの科学者エヴァンジェリスタ・トリチェリ（1608～1647）は図1のような方法で大気圧を測定しました。一端を閉じた1m のガラス管に水銀を満たし、これを水銀の入った容器に倒立させたとき、管内の水銀が容器の水面から76 cm のところで止まりました。このとき、管の上部にできた水銀のない部分は真空とみなせるので、容器の水銀面に働く大気圧と76 cm の水銀柱の圧力は、釣り合っていると考えることができます。つまり、気体の圧力は水銀柱の高さによって表すことができ、現在も1mm の水銀柱がもたらす圧力は1mmHg（ミリメーサイエンスボックス第1章血液ガスの基本　まずは「身の回りのガス（気体）」の理解から2大気圧の話