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2 エベレストのような高い山の山頂では「空気が薄い」「酸素が薄い」といいます。そこで、基本的な質問です。質問 以下の内容は正しいでしょうか?「エベレストの山頂では、酸素濃度が低い」正  誤 実は高度11,000mまでの対流圏では、どこでも酸素濃度は同じです。地表近くでも、山頂でも、酸素濃度は同じであるとされています。したがって、上記の質問1は誤りです。では、なぜ、人間は高い山に登ると酸素が薄いと感じるのでしょうか。高山病を例にとって考えてみるとわかるように、高い場所では気圧が低いために「酸素が薄い」と感じます(コラム参照)。つまり、酸素の分圧が低いことが原因です。高山病高山病(mountain sickness:山の病)は以下の別名を持っています。  ① Altitude disease(高度病)  ② Hypobaropathy(hypo:低い、baro:圧力、pathy:病気) つまり、高山病の原因は高い場所の低い気圧です。大気の酸素濃度ではなく、大気の酸素分圧が低いことが原因となって起こる病気なのです。 「酸素分圧」という言葉がいきなり出てきましたが、今は理解できなくてもOKです。さて、ここから学習の開始です。私たちは常に大気から体内に酸素を取り込み、生命を維持していますが、日常ではあまり大気のことを気にしていません。「空気のような存在」という言葉があるくらいです。しかし、血液ガスの話を理解するためには、まず大気のことをしっかりと把握しておく必要があります。そこで、まずは私たちが吸気している大気のことを理解することからはじめましょう。1エベレスト山頂の話Point①  基礎の基礎  大気の酸素濃度はどこでも同じ

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