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3 私たちは空気の重さをまったく感じていませんが、大気層の空気の重さ、つまり圧力を頭上から受けて毎日生活しています。この感じていない圧力が大気圧と呼ばれる圧力です。したがって、高い山に登ると大気圧は小さくなり、高山病が発生します。私たちが日常で気圧を感じるのは、急に高い場所に移動したとき、耳がツーンとなる現象でしょう。これは中耳腔に封じられた平地の気圧と、高所の低い気圧との間に圧差が生じるためで、鼓膜が中耳側から外耳側に押されることが原因です。このように私たちは常に気圧の中で生きています。 さて、台風が来ると気象情報では、中心の気圧は970ヘクトパスカル(hPa)最大風速……という情報が流れます。台風は低気圧で、気圧が低い部分に風が流れ込むことで大風が発生します。逆に晴天の日は高気圧に覆われているといいます。つまり、低気圧でもなく高気圧でもない基準となる気圧が1気圧です。天気予報では1013ヘクトパスカルが基準になります。私たちが使用するガスの圧力に関しては、この「1気圧」が基準となる状態(標準状態)として多用されます。1 ヘクトパスカル(hPa)とミリメートルエイチジー(mmHg) 私たちが血液ガスデータの酸素分圧の項目を見たとき、そこには同じ気体の圧といいながらもhPaという単位は用いられず、mmHgという単位が使用されています。これは学問の分野が異なっただけで、国が違えば通貨も違うのと同じで難しく考えることはありません。そして両者の関係も「本日の為替レートは1$(㌦)=98円」というのと同じです。ただし圧力のレートは為替のように変動せず固定レートと決まっていて、両者の関係は次の通りです。Point②  基礎の基礎1気圧=1013 hPa=760 mmHgという関係になります。mmHgのHgは水銀の元素記号であり、ミリメートルエイチ2大気圧の話第1章血液ガスの基本 まずは「身の回りのガス(気体)」の理解から2大気圧の話

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