◦1番目の数字のはなし◦200° ―ばち指の症状がある患者さんの爪先の角度9ばち指を診たら疑う疾患 このばち指を診たとき、胸部X線写真で明らかな異常がある場合は肺がんや特発性肺線維症を疑わなければなりません。冒頭で指輪が入らないと訴えてきた患者さんも、若年性の肺がんでした。肺がんや特発性肺線維症以外にも、COPDやじん肺、炎症性腸疾患、肝不全など多種多様な慢性疾患でばち指がみられるので、あまり診断のアテにはなりません。ただ、軽度の疾患で起こることはまれなので、ばち指をみたら「これは調べなければ!」と奮起する医師が多いでしょう。なぜばち指になるのか? とはいえ、実はばち指が起きるメカニズムはほとんど明らかにはなっていません。わかっているのは、慢性炎症や呼吸不全があるときに、血小板由来成長因子や血管内皮細胞増殖因子という物質が肺から除去されないために、局所で結合組織の過形成を起こすということくらいです。同じ病気でも、ばち指になる患者さんとならない患者さんがいます。 ちなみに、建築業や製造業などの現場仕事の男性では、病気がなくとも指が丸く太くなっていることがあるので、「アナタ、ばち指ですね!」と失礼な早とちりをしないように気をつけましょう。
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