302010490
13/14

1時間目たのしイイ低酸素血症の基礎知識11 図4で示した毛細血管のうちの一本が横向きに見えています。上側が「肺胞腔」です。毛細血管の壁は「血管内皮」といい、その上にあるのが肺胞腔の「肺胞上皮」です。血管内皮と肺胞上皮の2枚で、厚さはおよそ0.3μmとなります。 1mmの1,000分の1が1μmですので、0.3μmというのは非常に薄いものです。こういう構造物は薄ければ薄いほど酸素を通しやすいということで、これだけ薄いと酸素も二酸化炭素も結構ツーツーに通っていきます。例えばコンタクトレンズはもっともっと分厚い(70〜100μm程度)ですが、それでもある程度酸素を通します。それよりはるかに薄いのですから、ずっと通りやすくなっています。 人間の体のこの部分は極限まで薄く作ってあります。もっと薄くなると、今度は血液が漏れてくるんですね。例えば、病気になると血管透過性が亢進、つまり血管内皮にちょっと小さい穴が開いてきて水漏れします。水漏れして肺の中に水が溜まったのが、肺水腫や肺炎などの病気です。実はこの部分は、酸素を通すけれども水は漏れないギリギリの厚さになっているのです。 もう一つ、気付かれた方もいるかもしれませんが、図5でもこっと盛り上がっている部分がありますよね。本来、赤血球は円盤型をしていて、毛細血管の径よりも少し大きいんです。仮に毛細血管の方が太いと、赤血球はヒュイーンと一瞬で通り過ぎてしまいますが(図6)、毛細血管の方が細いために、赤血球はわざわざぐにゃっと曲がらないと通れないのです。 なぜこのようになっているかというと、赤血球が狭いところをぐにゃっと曲がってゆっくりゆっくり進む間に、できるだけたくさんの酸素の受け渡しができるようになっているのです。毛細血管の方が太いと、赤血球は一瞬で通り過ぎ、十分な酸素の受け渡しができません。図6 毛細血管の方が太いと…肺胞腔毛細血管

元のページ  ../index.html#13

このブックを見る