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● 「お子さんの心臓に病気があります」「心臓の手術が必要です」と言われたご両親やご家族の不安は、本当にはかりしれないものだと思います。先天性心疾患を専門にする医師として、少しでもその不安が減らせれば、と思ったのが本書の執筆のきっかけです。先天性心疾患は難しい病名がたくさんあり、医療者でも理解することが難しい病気もたくさんあります。図やイラストをたくさん入れて、なるべく簡単な言葉でわかりやすい解説を心がけました。● 多忙な心臓血管外科医や小児循環器医の先生方の患者さんへの説明の時にも使えるように、先天性心疾患に関わる医療スタッフの入門書になるように、治療内容などなるべく具体的に書きました。● 初版を上梓した2011年から約10年たって、今回はじめて改訂いたしました。医学の進歩は早く、いくつかの治療法が以前とは少し変わったのがその理由の1つですが、もう1つは、手術をした先天性心疾患のこどもたちが成長し、大人なった時に自立して社会に出るために大切なことは何か、を伝えたかったからです。改訂版では「8章 手術が終わって大人になるまで」を新たに加筆しました。先天性心疾患のこどもたちが大人になるまで、ご両親はどのように接したほうがよいか、こどもたちは大人になるまでにどんなことを身につけてほしいのか、などを書いています。● 改訂にあたり、上司である小出昌秋先生に監修していただき、また、たくさんの方にご助言いただいたことを心より感謝いたします。そして、初版の時から私の目指すことを深く理解してくださり、改訂に際しても励まし続けてくださったメディカ出版の鈴木陽子様、可愛くて親しみやすいイラストをたくさん描いてくださった川添むつみ様に厚く御礼申し上げます。● 先天性心疾患をもって生まれたこどもたちが、病気と向き合いながらも社会の中でいきいきと自分らしく生きていくことに、この本が少しでも貢献できることを心から祈っています。  2020年5月 立石 実  

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