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第9章カテーテル検査・治療後の合併症の知識と対応3はじめての心臓カテーテル看護はじめに 近年,高齢化の進行や生活習慣の欧米化に伴い,メタボリックシンドロームが増加しています.そして,それが誘因となる冠動脈疾患の患者も年々増加しています.冠動脈疾患では内服治療,心臓カテーテルによる狭窄部の拡張,バイパス術などの治療が行われます.なかでも心臓カテーテルを用いての冠動脈硬化への介入(インターベンション)は冠動脈硬化による心臓死を回避し,生命予後や症状を改善できる治療法として,近年,多くの施設で実施されています.心臓に向けて行われる検査・治療はリスクが高く,術者をはじめ検査に関与する医療チームは連携しあいながら,患者の身体的,精神的状況を共有して検査・治療に臨まねばなりません.よって,心臓カテーテル検査・治療に携わる看護師は,心臓カテーテル検査の原理,病態,合併症,患者の持つ不安・恐怖など,多岐にわたる知識と検査介助技術,そして観察力が求められます.そのため多くの看護師にとって「心臓カテーテル検査・治療を受ける患者の看護は苦手な領域」となっています. そこで,実習で循環器の患者を受け持つ看護学生や循環器科ではじめて勤務する看護師にも,わかりやすく,かつ即実践的に活用できるようにという思いで,『はじめての心臓カテーテル看護』というタイトルの書籍を制作しました. 筆者は近畿圏の各施設で循環器内科医として活躍する医師と,関西労災病院循環器センターならびにカテーテル室で勤務する看護師です. 本書は医療の第一線で勤務し,最新の知識と技術を駆使しながら多くの患者の救命に力を注いでいる筆者らが,実践から得た経験知を整理し,日々の業務のなかで自ら学び,後輩看護師に指導している内容を文章化したものです.教科書と専門書の間に位置する本として,手に取っていただければ幸いです. 2012年12月 元 関西労災病院看護部長 田中一美

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